SS【BL注意!!】
月乃飛鳥様に差し上げ物。保存転載は月乃様のみどうぞ。
仔篠仔です。軍人企画さんの再録。
軍人企画様より、中央国所属スパイ(派遣先:北)仔亜さんをお借りしました。
perdendosi (仔篠仔)
「疲れた・・・」
そして眠い。
正直眠気と疲労で自室まで辿り着ける自信無し。
ぼすりと倒れこむのは白いシーツ。
もそもそ動いて見上げるのは二段ベットの低い天井。
自室などではない。仮眠室。
首の後ろで結っていた髪を解けば、後頭部の重みも楽になる。
うつらうつらとまどろみの淵。
- - -
日が遮られ、ゆるりと瞼を開く。
――何故貴方が?
――何故此処に?
――何故?
覆い被さる様に覗き込んでいた人影に、「何故?」と唇だけが音を伴わない問い掛けを発し。
音の無い問い掛けに、彼は困った様に眉を寄せる。
躊躇いがちに伸ばされた手で、結っていた髪を解いた頭をそろそろと撫でられ。
シーツに触れた髪が、微かに布擦れの音を立てる。
そわそわと、こそばゆく。
不快どころか、とろりと目を細める。
髪に触れていた手を取って、指先に唇を寄せる。
指先を濡らす事はせず、唯唇で啄ばむ様に触れるだけ。
五指全てに触れ、満足気に緩む唇を隠すように、その掌に唇を押し当てる。
「―――――」
どこか狼狽を含んだ声で名を呼ばれ。
見上げ見詰めた眼差しのその奥の色に。
ふと湧き上がった焦燥から、そのまま彼の躰を抱き寄せる。
元々自分が片手を取っていた為に不安定だったその体勢。
容易く増えたもう一人分の質量に、ベットが啼く。
驚く彼の背に腕を回し、肩口に顔を埋め。
「・・・・・・篠、さん?」
呼び掛けられた声にふるふると首を振る。
何でもない。
一言返し、掠れた声を誤魔化す為に更に顔を埋めて、抱き締めて。
――あの、茫漠とした寂寥が
――何処から湧いて来たのかなんて
――私にも判らない
・・・・・・抱き締めてなど、いなかった。
私がただ、彼に縋り付いていたのだ。
・・・・・・何時か訪れる、彼が還る日に。
――――取り乱さない為に――――
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(音楽用語)(読み:ペルデンドシ)消えるように。
軍人企画さんで一度掲載した物に最後の四行を加筆。
確か文自体は仔亜さんの見た夢の後に書き上げた物。
元々別の展開になる筈だった物を、急遽改訂した話。
『夢』の話が軍人企画さんで上がった時から、薄々。
何時かは『還る』んだなぁと云う予感はしてたので。
我侭言うのも苦手、目に見えて甘えるのも苦手。
篠ノ雨にさせたい事があったら、待つより誘導した方が早いです。
篠ノ雨の行動で解り易いのを一つ。
コイツが無言で抱き付いたり触れたりしてる時は大抵
物凄く言いたい事や伝えたい事があるのだけれど、それが言葉にならない時
言ったら困らせるかもしれないと葛藤している時
大体そんな感じなんです。